設立趣旨

悠久の人類の歴史において遺された多様な有形、無形の文化資産は、人類共通の財産であり、これを未来に継承することは、現代に生きる我々の使命である。しかし、有形遺産にあっては、時の流れによる劣化、環境の変動による崩壊、民族紛争等による人為的破壊、無形文化資産にあっては、時代の趨勢、国際的グローバリゼーションに伴う古来の民族言語の喪失等により、消滅の危機に瀕している。

一方、死蔵され、また再生技術が既に現存しないが故に日の目を見ない貴重な文化遺産が数多くある。特に再生技術が既に失われているという理由のみで廃棄されている貴重な文化遺産が廃棄されている現状を看過することはできない。

ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)では、世界遺産条約にも基づく国際間の協力のもと世界各地に現存する貴重な文化遺産を保存・修復、継承していく活動を進めているが、これらに万遍なく手を加え一々解決していくには、膨大な時間、費用、エネルギーが要される。

この課題を抜本的に解決していく有力な手段の一つとして、最新のデジタル技術、コンピュータ、高度映像・音響技術等、現代の技術を結集することにより、多様な有形・無形の文化資産環境情報をデータとして蓄積・保存して、随時検索の上、鑑賞や研究・教育素材に供するとともに、一般に広く情報発信をしていく方策への関心が高まっている。

自然遺産、文化遺産の高精細映像・音響の記録・伝送事業を展開し、啓発活動と人的交流による気運醸成と国際連携体制の樹立に努めてきた。これを今後、系統立てて継続、発展させ、文化と科学技術との融合を図りながら「文化の多様性を支える」を主題に次世代への継承を念頭に置いた環境保全と国際貢献を図る上で、広く各界の参画を得て、英知と総力を結集し、着実に成果を挙げていくための組織つくりが急務とされている。

この会は、本趣旨を戴し、営利を目的とせず、志を共にする会員のボランティア精神と相互連携体制をもって特定非営利活動法人を設立し、目的達成に向けて鋭意活動していくものとする。

 

2014年6月14日

 

特定非営利活動法人文化の多様性を支える技術ネットワーク

設立代表者 住所又は居所 東京都文京区小石川5丁目19番29号

氏    名  山 﨑  芳 男